体験して分かった無人コンビニのメリット・デメリット/日本での必要性を考察する
無人コンビニ「Bingo Box」
テクノロジーの発達とともに私たちの生活は便利かつ豊かになってきた。PCやスマートフォンをはじめ、私たち自らが動く必要は確実に少なくなり、スマホ1つですべてを操作できる近未来的な世界に近づいている。
中国は特にテクノロジーに注力している国の一つである。キャッシュレス文化はすでに根付いており、公的機関でさえテクノロジー化を進めている。
その中でも、より世間をにぎわしているのは無人コンビニでだろう。米国のAmazonが「Amazon Go」の実験を行ったニュースを見た時、私は本当に感動したが、中国も対抗すべくR&Dを行っている。すでに店舗数は少ないものの無人コンビニは実用化されている。
今回は私が、中国浙江省杭州市での無人コンビニ「Bingo Box」の体験をもとにそのメリット・デメリットと日本での必要性について考察したい。
無人コンビニの手順(入店から退店まで)
まず、Bingo Boxがどのように機能し、決済が行われるのか一連の流れを確認する。一般的なコンビニでの購入は以下のようなステップを踏む。
① 入店
② 商品選び
③ 決済
④ 退店
基本的な流れはBingo Boxでも同様である。
①入店
店舗外のQRを読み込み、WechatやAlipayと個人情報をリンクする。中国ではすでにキャッシュレス決済が普及しているので、ワンタップで紐づけが可能である。紐づけ終了後、自動的に入口ゲートが開く。
②商品選び
好きな商品を選ぶ。商品にはそれぞれタグがつけられている。
③決済
WechatもしくはAlipayを使って決済する。機械の上に商品を並べ、タグを読み込む必要がある。レジのディスプレイにが表示される商品名と数量を確認し、QRをスキャンし決済する。
④退店
決済終了後、自動的に出口ゲートが開く。
無人コンビニを使用した感想
基本的な仕組みはセルフレジと相違ないのが現状であるようだ。Amazon Goのニュースから、入店から退店まですべて顔パスで済むと妄想を膨らませていたため、少し残念であった。しかし企業側にとってはその分、実用化が早くできるため、資金回収が容易なのかもしれない。
無人コンビニのメリット/デメリット
ではここから筆者の体験から無人コンビニの長短について販売者・購入者双方の視点から考える。
販売者側メリット
①レジ対応の人件費が不要
これはよく言われる無人コンビニのメリットなので、説明は割愛する。
②現金の管理が容易
キャッシュレス決済が主なので、当然のメリットといえる。
③購買データの保存が可能
中国では生活用品などの買い物はスーパーマーケットでの購入がおおく、個人商店が多い。そのためPOSシステムの導入などが難しく、購買データを集めるのが困難である。無人コンビニではその恩恵が受けられる可能性が高い。
販売者側デメリット
①コストがかかる
たしかにレジ対応の人件費については削減できるが、有人コンビニではかからないその他コストがかかる可能性がある。広域展開の場合、店舗管理人件費が必要であり、配送コストもかかる。そのうえ、決済に必要なタグの貼り付けにも費用が掛かる。これら費用は削減された費用を相殺または上回る可能性がある。
購入者側メリット
①現金が不要
これは紛れもないメリットであるが、中国ではすでにキャッシュレス文化が進んでいるため、メリットといえない可能性がある。
購入者側デメリット
①品数が少なさ
自販機と同じシステムなので、補充が必要でありリードタイムが長くなる。さらに売行が悪い可能性を考えると保存が効く商品のみの配置となる。そのため品数を少数にする必要があり、購入者には不便である。
②携帯操作の多さ
入店と決済にそれぞれ携帯操作が必要で、手数が多くなってしまう。中国の有人商店では決済のみ購入者が操作を行うが、無人コンビニでは他処理についても購入者本人が行う必要があり精神的コストが大きいと考えられる。
日本に無人コンビニは必要か??
以上より、販売者・購入者ともに無人コンビニ化にするメリットはないと言える。先にも述べたが、中国ではすでにキャッシュレス決済が浸透しており、購入者にとって必要とされるステップが1つ増えることになる。販売者にも有人コンビニであれば不要な諸費用が掛かる。
しかし、日本においては以上のデメリットが功を奏する可能性があると考える。
日本ではレジ対応の人件費が高く、国土が狭いため各地域ごとでまとめて管理することが可能になる。キャッシュレス文化が根付くきっかけとなる可能性も高く、購入者の作業が大幅に増加するわけでもなく精神的コストも小さい。
それゆえ販売者・購入者双方にメリットとなる点が中国よりも多いと感じた。
まとめ
日本人にとしてはメリットの方が多いように感じるが、中国人にとってはメリットよりデメリットの方が多い。現段階においては、はじめの話題作り以外には使用しない可能性がある。しかし、すでに自販機で実用化されている顔認証や指紋認証などを取り入れ、購入商品の管理を自動化することができれば、一定の需要が見込めるだろう。